コラム

2022.03.20蜂蜜&蜜蜂

【ミツバチの採蜜は効率が勝負です】花蜜を集めるのはとんでもなく大変なのです

ドイツ モーゼル川沿いの町 コッヘム (Cochem)

みつばちはとっても働き者です。
花から花へ飛び回っている姿は当たり前の光景の様に思えます。
ですが、あの花蜜を集める作業がどれだけ大変な作業か知ると驚きますよ。
何度も何度も花に訪れる作業は秒単位です。
その様な大変な作業を知ると、本物のハチミツをきっと試したくなりますよ。

◆花蜜を集める作業はとっても大変です

みつばちが花から花へと花蜜を集めるのは当然のことで、それについて深く考えることなどありませんよね。
ですが、みつばちにとって採蜜は当たり前ではなくとても大変な作業なのです。
みつばちの胃袋の大きさは普通50マイクロリットル程度だそうです。
50マイクロリットルって?という感じですが、0.05ccと言えば少しはイメージできるでしょうか。
よくもまぁこんな事が分かるものだと思いますが、これはイギリスのサセックス大学の研究資料で紹介されています。
University of Sussex のサイトにて2013年4月26日投稿
Research shows bumblebees on lavender have it licked.
(調査ではラベンダーにとまったマルハナバチがその花を吸っているのを紹介しています)
その資料で更に紹介されているのは、ラベンダーの一つの花は0.02マイクロリッター(0.00002cc)の花蜜を出すそうです。
するとみつばちがおなか一杯の花蜜を集めようとすると2500個(50÷0.02)のラベンダーの花を訪れないと、もうおなか一杯で無理、とはならないわけです。
もちろんいつもおなか一杯まで花蜜を集めるわけではないでしょうが、おなか半分でも1000個以上の花に訪れる必要があります。
もう1000という数字を見るだけで気が遠くなりそうです。

◆みつばちがおなか一杯花蜜を集めるのにどのくらい時間がかかるのでしょう

さらにサセックス大学の研究資料は、みつばちが蜜を集める行動を次の3つに分けて時間を測っています。
 *蜜のある花を探す・・・サーチタイム
 *花にとまりポジションを決める・・・オリエンテーションタイム
 *花蜜を採蜜する・・・エクストラクションタイム
ビデオで撮影しその時間を測ったようですが、みつばちが3つの行動で一つの花にかける時間は3.5秒だそうです。
1000個の花に訪れようとすると3500秒、つまり約1時間かかることになります。
ましてやおなか一杯となると2500個の花ですから8750秒、約2時間半かかることになります。

◆みつばちの舌の長さが採蜜にかかる時間に大きく影響します

研究資料ではみつばちと一緒にマルハナバチ(バンブルビー)も観察しています。
マルハナバチが一つの花にかける時間は1.1~1.4秒です。みつばちより2秒も短いです。
この差は蜂の舌の長さの違いから来ています。
マルハナバチの舌はみつばちより長いのでラベンダーの少し深い花の奥まで容易に届くのです。
これが採蜜時間の差になっています。
2秒の差ですが、おなかが一杯になるまで続けると1時間以上の差になります。

◆みつばちは効率よく蜜を集めることを望んでいる?

マロニエは蜜蜂のお気に入りでも少し触れましたが、みつばちがどの様な花を好むのかはっきりとしたことは分からないようです。
ですが、少なくともマロニエはお気に入りのようです。
花蜜を集める作業がこれほど大変だと一か所で多く蜜を集められる大きな木は確かに好まれるのでしょうね。
もちろん多くの花を咲かせる大樹でもみつばちの舌が届かないような奥の深い花だとあまり寄って来ないのかもしれません。
ちなみに一匹のみつばちが一生に集める花蜜はスプーン一杯程度と言われています。
約5㏄くらいでしょうか。
毎回おなか一杯花蜜を集めても100回は巣から出かけることになります。
このように自然の花々から少しづつ丁寧に集められた花蜜ですから、やはり非加熱で完熟となった天然の蜂蜜を皆様には試して頂きたいです (^_^)

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