コラム

2022.08.28ランダムノート

【見直されるクローバーの役割】環境問題の改善にクローバーは貢献します

軽井沢 ムササビ注意の看板

管理人はクローバーのハチミツが好きです。
少しスパイシーさを感じるところがいいのですが。
日本ではシロツメ草とも呼ばれ雑草のように思われているかもしれません。
ですが別のコラムでもご紹介致しましたがクローバーはとても優れ者です。
少し大げさな言い方をすると仙人の様にカスミを食って生きている感じです(笑)
そんなクローバーは環境問題に大いに貢献しそうです。
クローバーのハチミツを食べられる機会があれば少し思い出して頂ければ(^^)

◆クローバーは優れ者です ポイントは窒素です

生物にとって窒素はとても大切な要素です。
タンパク質を作る要素だからで植物も例外ではありません。
肥料の三大要素の一つが窒素です。
クローバーは土壌に取り込まれた空気中の窒素を使うことができます。
肥料の窒素を必要としないのです。
しかもその窒素を使い土壌を豊かにしてくれます。
<ご参考>クローバーは凄い

◆クローバーの実力は18~19世紀の欧州で示されています

元々クローバーは南スペインで栽培され17世紀までに欧州で広く分布してました。
土壌に取り込まれた空気中の窒素を使うので肥料がいらず、なおかつ土壌を豊かにするので重宝されますよね。
実際1750年~1880年の間に欧州の農業生産高が175%アップしたと見積もられています。
それはクローバーによって土壌の窒素が2倍になった可能性が推測されています。
Clover in Agriculture (農業におけるクローバー)
2021年11月 Journal of Insect conservation
また欧州は酪農が盛んですがクローバーは牧草よりも高い窒素が含まれ優れた飼料となります。

◆人工的窒素の投入で流れが変わりました

ところがクローバーは他の肥料に押されて減少してゆきます。
一つは19世紀後半にグアノ(海鳥やコウモリの糞を多く含む)が入ってきたからです。
窒素を多く含む天然の肥料です。
もう一つは20世紀初頭に空気中の窒素を使えるようになったことです。
アンモニアの形で窒素を取り込むハーバーボッシュ法が開発されました。
当然クローバーをわざわざ栽培しなくても肥料をまくだけなら楽です。

◆人工的肥料の何が問題なのでしょうか

農作物の収穫だけを考えれば人工的な窒素肥料の効果は大きいです。
ですが環境面では人口肥料を作る時、運ぶ時の温暖化ガスの排出や、肥料を使っているときの水の汚染などが問題となります。
また、クローバーの減少とともに大切なポリネーター(花粉媒介者)も減少します。
ポリネーターの減少は経済的にも環境的にも決して良いことではないです。
このままでは人が食べる野菜や果物が十分に受粉できず減少してゆき、経済的な損失は大きいと既に警鐘が鳴らされています。
先にご紹介した記事に英国の肥料の価格推移グラフが載っています。
そのグラフを見ると2000年から2020年の間に価格は2倍になっています。
人工的肥料のコスト上昇も農家の経済的負担を押し上げています。

◆環境問題とも呼応しクローバーの役割が再評価されています

クローバーは栽培の手間はかかりますがその役割が見直されています。
農作物に豊かな土壌を提供し、家畜に栄養価の高い飼料を提供し、みつばちに花蜜を提供してくれます。
特にみつばちにとって花蜜の少ない夏にクローバーが花蜜を提供してくれるのはメリットが大きいです。
ポリネーターの減少が警告されている今、クローバーはその減少に歯止めをかける一つの手段です。
また温暖化ガス対策としても当然二酸化炭素の排出を抑えます。
農家の費用負担も考えると、そろそろクローバーに一部戻しても良さそうに思えます。


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