コラム

2022.11.19フード&ヘルス

【ハチミツと睡眠 その2】ハチミツが前向きな気分と睡眠をもたらすホルモンを届けてくれますよ

ドイツ ボーデン湖のほとりのメーアスブルクにて

今回は<その1>からの続きとなります。
<ハチミツと睡眠 その1>
人はいつもネットにつながっていることが当たり前になっています。
するととにかく多くの情報が飛び込んできます。
その情報処理のため脳をどんどん働かせることになります。
しかも気分を害する情報を目にすることも多くダメージももたらされます。
そしてネットへはほぼスクリーンを通してアクセスしています。
視覚から入る光を通じこれもまた脳に多くの信号を入力することになります。
そんないつも興奮している脳神経の状態を休めることができるのはやはり睡眠です。
ところが満足な睡眠を得るのは本当に難しいですよね。
しっかり睡眠が取れています、と自信のある方は意外と少ないのでは (-_-)
睡眠ホルモンであるメラトニンにたどり着くにはトリプトファンが鍵です。
ハチミツとタンパク質の組み合わせでトリプトファンを効率的に脳内に運ぶお話です。

◆ハチミツがより良い睡眠をもたらすわけ

睡眠をもたらすホルモンはメラトニンです。
そのメラトニンはトリプトファンが脳内で途中幸せホルモンであるセロトニンを経て姿を変えたホルモンです。
なので睡眠はトリプトファンを多く脳に届けることがポイントです。
トリプトファンは食事で摂れる必須アミノ酸ですから、腸から脳に届ける運び屋を確保しなければなりません。
この運び屋をより多く確保するのにハチミツがしっかりと働くのです。
順にポイントを説明すると次の通りです。

食事で必須アミノ酸(トリプトファンやその他)を摂る
アミノ酸の間で運び屋の取り合いが起こる
そこでハチミツでインスリンを呼び出す
インスリンが一部運び屋の代わりとなる
 これでその他の必須アミノ酸が筋肉へ運ばれる
運び屋に空きができトリプトファンへまわる
多くのトリプトファンが脳へ届けられる
 すると睡眠ホルモンのメラトニンが作られる

インスリンは血糖値の話でしょ?
と思われた方は多いと思います。
ですがインスリンは糖分だけでなく、アミノ酸にも脂肪にも働きかけます。
とにかく生き延びるために体に入ってくるエネルギーは全て体に溜め込もうとするホルモンです。

◆トリプトファンとその他の必須アミノ酸の違い

トリプトファンも必須アミノ酸ですが運び屋を分け合っているその他の必須アミノ酸(BCAA)とは違いがあります。
トリプトファンは主に神経系に作用します。
なので脳内で必要なんですね。
一方トリプトファンと相乗りするその他の必須アミノ酸(BCAA)は主に筋肉系に作用します。
なので筋トレには必要なんですね。

ここでタンパク質と一緒に糖分を摂るとさらにアミノ酸の細胞内への取り込みが進みます。
糖分に反応し膵臓からインスリンが分泌されるからです。
それはインスリンは糖分だけでなくアミノ酸にも働きかけ細胞内に取り込むからです。
ですがここで大きなポイントがあります。
実はインスリンが働きかけるのはその他の必須アミノ酸(BCAA)の方でトリプトファンには働きかけません
この違いはたとえインスリンがトリプトファンに働きかけなくても、結果的にトリプトファンをより多く脳内に届けることにつながります。

◆トリプトファンに提供される運び屋

たんぱく質と一緒にハチミツを摂ると膵臓が反応しインスリンが分泌されます。
このインスリンにより運び屋を分け合っていた必須アミノ酸(BCAA)が運び屋に頼らず筋肉に取り込まれます。
一方トリプトファンのように神経に作用する必須アミノ酸はインスリンの影響をほとんど受けません。
そうです。運び屋に空きができ、トリプトファンにより多くの運び屋が提供されるのです。


これによりいつもより多くのトリプトファンが脳に送られることになります。
インスリンを使いトリプトファンをより多く脳に届けるとはこう言うことです。
ちなみに、一方の必須アミノ酸(BCAA)は骨格筋にとってとても大切なパーツで、筋トレのあとにインスリンを使い筋肉に取り込むと効率の良いたんぱく質合成につながります
筋トレ後にタンパク質と糖分を摂れと言われるのはこう言うことです。
これはハチミツと筋トレに関するコラムでご紹介いたしております。
<ご参考>ハチミツと筋トレ その1

◆ハチミツとアミノ酸の吸収

ではどうして砂糖ではなくハチミツなのでしょう
糖分の種類としてはブドウ糖の方がショ糖よりさらにアミノ酸が細胞内に取り込まれます。
つまりハチミツ(ブドウ糖)の方が 砂糖(ショ糖)より 効果が高いわけです。
実際その様に検証された報告もあります。
独立行政法人の農業産業振興機構のサイトにある
「砂糖の筋肉増強作用について」2016年10月です
80人を対象に糖分と血中アミノ酸の吸収について検証しています。
結果はブドウ糖の方がショ糖に比べ1.6~1.7倍のアミノ酸が吸収されたそうです。
ちなみに糖分を摂らなかった場合とブドウ糖を摂った場合のアミノ酸吸収も比較しています。
ブドウ糖を摂った場合はそうでない場合より2.6~3.3倍アミノ酸が吸収されたそうです。
やはりアミノ酸の吸収にはハチミツ(ブドウ糖)効果が大きいのです。
詳しい検証内容はハチミツと筋トレのコラムでご紹介致しております。
<ご参考>ハチミツと筋トレ その2
ちなみにブドウ糖とショ糖の違いは以下の通りです。

あともう一本ご紹介致します。
The Annual Review of Nutrition(栄養についての年間レビュー)という雑誌に
Sleep and Diet(睡眠と食事) 2021年10月号
についての記事が載っています。
この記事の中でミルクにハチミツを入れて検証した文献が紹介されており、睡眠に良い影響があったと報告されています。
ホットミルクにハチミツを加えて飲むと睡眠に効果的、との話を聞かれた事があろうかと思います。
実際睡眠には効果的だそうです。

◆睡眠不足がもたらす不健全な食欲

同じく先にご紹介した「睡眠と食事」では睡眠不足が食事に悪い影響を及ぼすと報告しています。
例えば毎日の睡眠を5.5時間未満に制限すると十分な睡眠に比べエネルギー摂取量が増えるそうです。
そして恐ろしい事に、食べる量が増える以上のインパクトとして食べる物の種類に変化がある、との証拠が出ているそうです。
想像通り、脂肪と甘いものへの欲求が増えスナックも増えます。
これは意外と甘い物でトリプトファンを無意識に脳に送ろうとしているのかもしれませんね。

このコラムの中で繰り返しご紹介致しておりますが、ハチミツとタンパク質の組み合わせは良質な睡眠だけでなく筋トレ効果ももたらします。
文中でもご紹介致しましたが、ハチミツと筋トレのコラムもご参考になさってください。
ちなみに腸がトリプトファンを吸収するには酪酸菌が欠かせません。
酪酸菌を増やすためにも腸内環境を整えることはとても大切ですが、そこでもハチミツは効果的です
<ご参考>酪酸菌もお忘れなく
また体内時計の観点より腸内環境と睡眠も深い関係があります。
それについては次のコラムをご参考になさってください。
<ご参考>ぐっすり寝るには腸内環境にも気配りを
いづれにせよより良い睡眠のためぜひハチミツをお試しください。
<ご参考>菩提樹のはちみつ

<国産・非加熱・完熟はちみつをお届け>
<花田養蜂園>