【にせ物はちみつに悩む欧州(世界)】本当のはちみつを食べた事はありますか
とても残念なことですが、はちみつは偽装されているケースがとても多い食品です
本物を見つけるのが意外と難しい食品です
それはもちろん日本だけの話ではありません
はちみつに人気があり、その品質基準が厳しいヨーロッパでも同じです
英国のファイナンシャル・タイムズがその深刻さをレポートしています
◆偽装の多い3つの食品
別のコラムでもご紹介致しましたが、世界規模で偽装の多い食品は
・オリーブオイル
・牛乳
・はちみつです
NIH(National Institutes of Health: アメリカ国立衛生研究所)
の医療ライブラリー(NIH)に載っている文献です。
Development and application of a database of food ingredient fraud and economically motivated adulteration from 1980 to 2010.
(1980年から2010年までの食品成分詐欺と経済的な思わくによる異物混入のデータベースの開発と適用)
2012年4月
はちみつに関して言えば、加熱のあとシロップを加えるパタンが多いと思われます
◆欧州を悩ませる中国からのまがい物はちみつ
欧州は元々ハチミツは人気があり養蜂も盛んです。
そのためはちみつの品質基準は厳しいです
ですが品質の表示基準が緩いためまがい物が多くまざります
欧州は養蜂が盛んなものの消費量が多く、足りない量を輸入に頼っています
その輸入量は多く約45%とほぼ半分近くを輸入に頼っています
そしてその筆頭が中国産です
◆はちみつではなく砂糖水
英国のファイナンシャル・タイムズの記事(2023年4月22日)にその深刻さが紹介されています
European ‘honey laundering’ fightback targets Chinese sugar syrup
中国産のシュガーシロップを対象に欧州の「ハニーロンダリング」対策
※「ハニーロンダリング」は「マネーロンダリング」を文字った言葉
「マネーロンダリング」は出所の怪しいお金を色々なルートで洗浄し出所が分からない様にする事
「ハニーロンダリング」はこれを真似て、まがい物を正式な商品にする意味合いで使われたと思われます
欧州委員会が3月(2023年)に発表した結果によると、
調査をしたサンプルの46%が基準を満たしていなかったそうです
シロップなどが混ぜられており、欧州委員会の一人は
「基本的に砂糖水だ」
とコメントしています
ちなみに約5年前の調査では基準を満たしていなかったサンプルは14%程度だったそうです
凄い勢いでまがい物が欧州に流れ込んでいるのです
当然これは欧州だけでなくはちみつの多くを輸入に頼る日本も同じだと予想されます
ちなみに日本で国産は国内はちみつ市場の約6%程度です
輸入品の約7割は中国産です
◆とにかく安いまがい物
非加熱で手間をかけた本物のはちみつに比べ、
シロップを混ぜたまがい物は当然安くなります
それも半端なく安くなります
まがい物は本物の3分の1以下の値段で取引されているそうです
養蜂家から直接買える本物は1㎏あたり凡そ3.5ユーロをくだらないそうです
一方ホールセラー、いわゆる問屋は1ユーロ程度で輸入しているそうです
当然ホールセラーが扱う量の方が圧倒的に多いですからはちみつ市場全体に値下げ圧力が強くかかります
◆養蜂家を守りミツバチを守る それは人類を救うこと
このタイトルは大げさだなぁ、
と思われましたか(笑)
決して大げさではないのですよ
価格が下がる事は一見良さそうに思えます
ですがそれは欧州での養蜂家の件数を減らすことになります
そしてそれはみつばちの数も減らすことになります
みつばちはポリネーターの代表選手です
ポリネーターとは植物の受粉をサポートする昆虫のことです
つまり我々はポリネーターのおかげで多くの食べ物を口にすることができるのです
実際、世界の要人が集まるスイス・ダボス会議でもこの問題の深刻さは報告されています
このままポリネーターの数が減ってゆくと世界で約60兆円の農作物に被害が及ぶとされています
この報告は2020年12月のことです
さらにこの問題は国連でも取り上げられています
その結果
2017年12月20日には毎年5月20日を「世界みつばちの日」としてみつばちを保護しよう
と国連で決議されています。
ですので単にはちみつの品質が保たれないだけでなく、
その他の食品も口にできなくなる可能性があるのです
◆ぜひ一度、非加熱、完熟の本物のはちみつをお試しください
はちみつは個体差の大きい食品です
養蜂家から家庭に届くまでの扱われ方で味わいに大きな差が出ます
やはり大きな違いは非加熱処理かどうかです
あとミツバチが巣に栓をするまで完熟させているか、です。
ミツバチが採蜜した時点では水分が多くさらっとしています
これをミツバチが自分たちの羽であおいで水分を飛ばすまで待つ必要があります
ですが商業ベースを考えるなら加熱し、適度に水分を飛ばした時点で甘さを補うために安い甘味料を足した方が早く出荷できます
また、何度もミツバチに働いてもらって量を稼ぐ事ができます
ですが加熱した時点で、はちみつ内の酵素が働かなくなります
つまりはちみつの旨味が生まれなくなるのです
もちろん酵素が働く時間が必要ですので完熟も味わいに大きく影響します
値段の問題もあり、普通はスーパーなどのお店では取り扱っていないと思います
ですので本物のはちみつを食べられた方は少ないと思います
ですのでハチミツはどれを食べても同じ
と思っておられる方も多いと思います
そもそも国産は日本市場の約6%程度です
本物は一口食べると、その美味しさが分かって頂けると思います
国産だから安心と言うわけではないですが
輸入品の多くは価格が安いから、という理由が大きいと思います
ぜひ一度、本物のはちみつをお試しになってください
はちみつはどれも同じ、ではないです