【花蜜の正体は何でしょう】単なる糖分だけではなくミツバチにアミノ酸の成分を提供しています
みつばちは一生懸命に花蜜を集めます。
その作業は結構大変なものです。
みつばちにとって花蜜はそれだけ大切な食糧です。
それは単なる蜜だけではなくアミノ酸などの成分も含むからです。
我々が口にするハチミツの元である花蜜ですから興味のあるところですね。
ですが花蜜がどの様に作られているのか詳しいことはまだ分かっていないそうです。
今回は文献を参考に我々が口にする元である花蜜についてお話します。
◆元は光合成によるでんぷんです
植物と言えば光合成でありでんぷんですよね。
でんぷんはヨウ素液で青紫色に染まります。
夕方に葉っぱをヨウ素液で調べると確かに青紫色になりでんぷんができているのが分かります。
ところが朝の葉っぱを調べると青紫色にはなりません。
つまり夕方作られたでんぷんは養分として茎や根に運ばれてしまったのです。
この養分の通り道が師部と呼ばれ、でんぷんをショ糖の形で貯蔵もしています。
花蜜は蜜と言うくらいですから主な成分は炭水化物です。
そして師部のショ糖が蜜腺に送られているようなのです。
◆花蜜にはアミノ酸も含まれます
ですが花蜜は蜜である炭水化物でほぼ決まり、とはならないのです。
花蜜にはアミノ酸も重要な成分として含まれています。
Trends in Plant Science (植物科学の動向)というサイエンス雑誌があります。
その雑誌に2011年4月、掲載された記事があります。
Nectar: generation, regulation and ecological functions
(花蜜:生成、調整、生物学的な機能)
この記事によると、花蜜は炭水化物の他にアミノ酸も含まれている、とあります。
アミノ酸はポリネーター(花粉媒介者)である昆虫を誘う大切な成分なのです。
◆生物にとってたんぱく質の元である窒素(N)は大切です
言うまでもなく生物にとってたんぱく質はとても重要です。
そして窒素(N)はたんぱく質の構成元素です。
とても大切な窒素は植物の肥料の3大要素の一つでもあります。
窒素は空気中に約8割含まれるほど豊富なんですけどね。。。
そうです。窒素は空気からではなく別に摂らないとダメなのです。
昆虫にとってももちろん窒素は大切です。
◆花蜜は昆虫にとって窒素(N)の大切な供給源です
鳥のような脊椎動物は花蜜以外にも色々な食物を食べます。
なので窒素やアミノ酸はそこから摂ることができます。
ですがポリネーターとなる昆虫はほとんどが花蜜に頼ります。
つまり花蜜はポリネーターにとって大切な窒素の供給源なのです。
そこでポリネーターを必要とする花はより工夫を凝らすだろう、と。
つまり他の花より多くのアミノ酸を含み昆虫を誘っているだろうと推測しています。
◆アミノ酸は蜜腺を保護する役目も担ってます
花蜜がアミノ酸を含んでいる理由はポリネーターを誘うだけではありません。
先ほどの記事によるともう一つの理由は蜜腺を保護するためだそうです。
花蜜は微生物、特に酵母菌の浸食を受けるそうです。
アミノ酸はこのような微生物の感染を防ぐための役目も担っているのです。
アミノ酸ではありませんが花蜜にはフェノール類やアルカロイドもよく含まれているそうです。
好ましいポリネーター以外を寄せ付けないためです。
フェノール類はまさにポリフェノールに通じます。
またアルカロイドが種子にたまると有名なアヘン・モルヒネに通じます。
◆花蜜には蜜やアミノ酸以外の成分が含まれている可能性があります
記事によると花蜜には水、炭水化物、アミノ酸が含まれていることになります。
ですがそれ以外の成分についてはまだよく分からないそうです。
ポリネーターであるみつばちを魅了する成分であるアミノ酸はハチミツになっても含まれています。
これはハチミツの味わいにコクや旨みをもたらすことになります。
これからさらに花蜜に新しい成分がみつかるかもしれません。
いづれにせよハチミツの元になる花蜜は単なる炭水化物の蜜ではないのですね。
みつばちにとって体に良いものを含んで誘いをかける花蜜は人にとってもメリットがあるのでしょうね。
花蜜をみつばちが熟成させた非加熱・完熟はちみつを是非お試しください。